特許庁のホームページに「PCT国際出願制度の概要~海外で賢く特許権を取得するPCTの仕組み~(令和5年度テキスト)」が公開されました(2023年10月3日確認済み)。
原則として日本の特許権は日本国内だけ、外国の特許権はその外国内だけで効力を発揮します。そのため、海外へ事業展開等する場合には、事業展開先の国でも特許権を取得する必要に迫られる場合があります。
もし事業展開先の国が複数ある場合、複数の国それぞれで特許権を取得する必要が出てきますが、国ごとに必要書類の様式や言語などが異なり、書類の翻訳等の準備に手間取られて出願が遅れる等のデメリットがあります。
その際に活用できるのが特許協力条約(PCT)に基づいた出願、いわゆる『PCT出願』です。
PCT出願によれば条約で統一された所定の書式による出願を1件するだけで、条約加盟国のすべての国に同時に出願したことと同じ効果を得ることができます。
PCT出願した後、所定期間内(原則として、優先日から30カ月以内)に実際に特許権の取得が必要な国に対して翻訳文の提出などの移行手続をする必要はありますが、初めから複数の国それぞれに対して、各国の様式に沿った特許出願をするよりは手続きが「楽」というメリットや移行する国をじっくり考えることができるというメリットがあります。
他にもメリットがありますが、上記特許庁のホームページに公開されているテキストを参照すると、より詳細にPCTについて理解できると思います。
もちろん、知財特有の用語が多く登場するので、はじめての方には難しいかもしれません。そのような場合は、弊所をはじめ様々な特許事務所で提供されているセミナー等のサービスを利用することも一案です。
by 今 智司