BLMとは -商標を活かす7つの基本手続

当事務所では、商標を活かすため、以下の7つの基本的な手続、つまり、BLM(ブランド・リーガル・マネジメント)が必要と考えています。

【1】商標のもとで「約束」を定める。

まず、商標のもとで「約束」を定め、その「約束」を商標に象徴させます。その上で「約束と期待」、「期待と応える(守る)」という事業者と顧客との間のコミュニケーションを深め、事業者と顧客との間の信頼関係を形成する必要があります。このようにすることで信頼関係がブランド価値の源泉となり、かつ、次第に顧客の「信用」をも、その商標が象徴するようになっていきます。

「約束」とは何でしょうか?

「約束」とは、事業者が顧客に対してするもので、以下の3つの視点から定められます。

  • どのような顧客に対して「やくそく」するのか。
  • 事業者の提供する組織・商品・サービス又は事業等を核として、どのような価値を提供するのか。
  • その価値は、競合と差別化できる優位的特徴はあるか。

「約束」は、これら3つの視点(「ターゲット顧客」「提供価値」「優位的特徴」)で定めることが効果的です。

【2】商標とリンクする「カテゴリ」を定める。

事業者が属する市場(商品等のカテゴリ)を定め、かつ、その市場(カテゴリ)は、社会的に関心がもたれているかを検討する必要があります。価格競争が激しい市場や、市場が縮小している場合等あるからです。

また、今日、顧客ニーズが多様化している状況では、「ターゲット顧客」を定めるに際し、市場を細分化し、事業者が優位的特徴ある価値を提供し得るセグメント(商品等のサブカテゴリ)を選ぶことが重要です。

そして、顧客が関心をもつカテゴリやサブカテゴリ(市場又は細分化された市場)と自社の商標を顧客の記憶の中でリンクさせ、顧客の記憶の中に「連想のネットワーク」をうまく作ることができれば、競合を抑えて、事業者のブランドが選ばれる確率が高くなります。

【3】「約束」に見合う「実体」をつくる。

約束に見合う実体がなければ顧客の信用は得られません。そして、優位的特徴をもった提供価値をターゲット顧客に届け続けるには、強固な「価値提供システム」を構築する必要があります。

なお、「価値提供システム」を構築し、「約束」に見合う「実体」をつくることで、顧客の期待に応えることができます。そればかりでなく、そのようなシステムの存在が、顧客の記憶の中で商標とリンクし、顧客の「信用」を高めることができます。

<ブランド主導の知財開発>
但し、通常、システムを構築し実体をつくってからイメージを発信するという発想の方が健全なようにも思いますが、まずはブランドが目指すべき姿(いわば「約束」)を定めて、そのようなシステムを構築していくという順番の方が、よいのではないか、ということが、BLM(ブランド・リーガル・マネジメント)をコンセプトとする当事務所の立場です。「ブランド主導の知財開発」とも言えます。

【4】識別力の高い商標を中心に「イメージ」をつくる。

商標とブランドとは必ずしもイコールではなく、ブランドを構成する商標は複数あり、商標の機能を理解して、商標をブランドに育てていくことが重要です。特に、商標とすべき要素は、自他の商品・サービス又は事業等の同一性を表示し、他の同種の商品等と区別する「識別機能」を発揮できるものであることが必要です。

また、ブランドを構成する商標を複数選択した場合、各商標の役割を決めて、ブランドの基本的要素となる商標(ブランドの名前等)に、「識別機能」を十分に発揮できる文字や図形等を採用し、これ(ら)を顧客の記憶に深く刻印すれば、ブランドの認知が深まります。しかも、これに種々の情報(補強的要素となる商標含む。)をリンクさせることで、顧客の記憶の中に豊かな「連想ネットワーク」を構築することができれば、ブランドイメージを作り出すことができます。

【5】「主体的行動の指針」として商標を利用する。

事業においては経営目的・経営目標を明確に定め、その上で社員全員がその目的・目標を目指し、自身の仕事を責任をもって遂行していくことが必要です。その事業における商品やその包装・サービスの提供の用に供するモノ・店舗・これらを広告する媒体等に、「商標を適切に表示する」ことで、それらに携わる社員等に手がかりを与え、主体的行動を支援することができます。更に、価値提供システムを構築して、社員等の主体的行動を支援していく必要もあります。

なお、当事務所は、社員全員が主体的に責任をもって行動するという考え方を持ち、社員や現場スタッフの方々の主体的行動が尊重される会社を積極的に支援したいと考えています。

【6】事業活動の「整理整頓ツール」として商標を活用する。

事業活動が発展し、商標1つ、ブランド1つの問題ではなく、複数の商標・ブランドを抱えるようになった段階での話となります。

コーポレートブランドの約束と、プロダクトブランドの約束とは異なるレベルで存在します。しかも、複数のプロダクトブランドが存在する場合も多いと思います。

このような場合であっても、事業者の各活動の「整理整頓ツール」として商標を活用することで、顧客・その他の利害関係者にそれぞれのレベルで「約束」を明確に提示して各約束を守り、組織全体としては上位の約束を各レベルで統一的に守っていくことで、市場での強い地位を固めていくことができます。

【7】「約束がブレない」ように、商標を管理し活用する。

高い財産的価値を有する商標・ブランドに着目する必要があります。

事業者はその財産的価値の管理を行うと同時に、その価値を利活用して、変わりゆく事業環境に適応していくことが必要です。特に、既存商品等に長年使用し又は新たな商品等に拡張していくには、「約束がブレない」ように、商標を管理し活用する必要があります。

そして価値あるブランドを構成する商標は、約束がブレない範囲で活用できるだけでなく、約束がブレない範囲が明らかですと、大海原を進む事業者の有効な羅針盤にもなります。

BLMを実践するための当事務所のサービスは以下の通りです。

  • 商標を中心にしたお客様の事業環境についてのヒアリング。
  • お客様にとって必要な指定商品・指定役務を合計45区分の中から特定するためのディスカッション。
  • 知財開墾サービスによる「価値提供システム」の検討。
  • 商標調査(識別力、類似性)。
  • ブランド拡張(他の区分、他の類似の商標)の検討。
  • 登録商標の管理、更新手続き。