小さな知財部~知的財産権維持には「年金」が必要

 「年金」と聞くと多くの人は「貰えるもの」と捉えると思います。しかし、知財分野で「年金」といえば、特許庁に納付するものであり、通常の「年金」とは正反対の性格になります。

 特許権、実用新案権、意匠権、そして商標権は、権利を取得した後も各権利について所定の期限までに特許料や登録料を特許庁に納付しなければ権利を維持することができません。

 特許権の場合、特許出願、審査請求、そして登録査定を経て、最初に3年分の登録料を納付した後、第4年目からは毎年、特許庁に特許料を納付することで特許権を維持できます。もちろん、例えば第4~第6年分というように、複数年分の特許料をまとめて納付することもできますが、それでも各年分の特許料を納付しなければ特許権を維持できないことには変わりありません。

 なお、特許(登録)料は納付期限までに納付することが原則ですが、仮に納付し忘れたとしても、納付期限が経過した後6か月以内であれば、通常の特許(登録)料に加え、割増特許(登録)料(通常の特許(登録)料と同額)を納付することで権利を維持できます(とはいえ、「倍額」納付する必要があるので、避けたいところですね)。

 このように特許権や商標権は権利を維持するだけでも費用が発生します。そのため、ビジネスにおいては一度取得した権利であってもビジネスの状況によっては権利維持を続けないという選択もあり得ます。権利を維持するか否かについては、「小さな知財部~「戦略」と「知財」との関係とは?」で取り上げた戦略に基づいて判断していく、ということになると思います。

 権利を取得した後、ビジネスへの利活用の状況を定期的に確認し、その権利を維持するか否かの判断をすることも知財担当者の重要な仕事の一つです。

by 今 智司