小さな知財部~日頃の情報収集の重要性

 知財に関する活動で、情報収集は極めて重要な活動です。現時点で何も問題がないからといって、明日も問題がないとは限りません。そのため、知財担当者は日々、情報収集し、収集した情報を参考にして知財活動していくことが重要となります。

 情報収集の目的はいろいろあります。例えば、新ビジネスの種探しや、自社製品・サービスに対する顧客の言葉(要望や不満など)を事業に活かすこと、そしてもちろん、他社による自社の知財権の侵害の発見、更には想定外の業種から自社市場への参入の発見等々です。

 新ビジネスの種探しでは他社が何をしているのか?について情報収集することで、自社の知財を活かした新市場や新ビジネスの芽が芽生える場合があります。

 例えば、2026年2月1日、海洋開発研究機構(JAMSTEC)の地球深部探査船「ちきゅう」によって南鳥島沖の水深6,000mからレアアース泥の採取に成功したことが発表されましたが(※1)、そこには「江戸っ子1号」(商標登録代5649343)が活用されています。この「江戸っ子1号」、もともと大阪の中小企業が「まいど1号」という人工衛星を開発して打ち上げたことに対し、東京の中小企業である株式会社杉野ゴム化学工業所の杉野氏が「大阪が宇宙ならば、東京は深海を目指そう」とJAMSECに持ち掛けたのがきっかけだったそうです(※2 ←詳しくは引用元のJAMSTECのホームページをご参照ください。)。

 これも他社が何をしているか?自社は自分たちの武器を使って何ができるか?についてアンテナを張って情報収集していたから新ビジネスの種を手に入れることができた1つの例なのだろうと思います。

 また、日々、世の中には様々な商品・サービスが出てきます。その商品・サービスの中に、自社の知的財産権を侵害し得る商品・サービスが存在する場合があります。そのような場合、早目に適切な対応をとらないと自社の市場シェアに悪影響が出たり、顧客に不利益が発生したりする可能性があります。

 そのため、市場の状況や顧客からの声を継続的に取得しつつ、取得した情報を社内で共有しなければなりません。

 ここで、商品・サービスが提供されている店舗等に実際に足を運ぶことだけでなく、SNS等のインターネット空間上でそのような商品・サービスについて宣伝広告等されたり、実際に購入したユーザがブログで紹介したり、動画共有サイトに動画をアップしたりしていることを念頭に、リアル店舗等のみならずネット空間での情報収集も日々、実行していく必要があります。

 更に、自社商品・サービスを使っているユーザの生の声(リアルでもネット上でも)を収集して次の開発に活かすようにすることや、これまで競業とは意識していなかった異種業種からの自社市場への参入を早期に発見して手を打つこと等も、日々の情報収集が肝となります。

 日々の業務で忙しい方々が多いと思いますが、世の中の情勢は刻々と変化しているので、継続的な情報収集は事業を支えていくために非常に重要な仕事だと思います。

by 今 智司

※1 https://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20260202/  (2026年3月3日確認)

※2 https://www.jamstec.go.jp/j/jamstec_news/20131220/img/be120_p24-27.pdf  (2026年3月3日確認)