知財活動において常に念頭に置くべきことがあります。それが『状況は常に変わっていく』ということです。
あまりにも当たり前なことですが、現時点でうまく進んでいるビジネスであっても、明日もそのままうまく進めることができるとは限りません。
例えば、
・自分の業界ではこれまで知財紛争はなく、紳士協定があるから心配はない。
・自分の業界に他業種が参入するはずがない(これまでもなかった)。
・自社は他社から製品を購入しているに過ぎないから、知財紛争に巻き込まれることはない。
・商標をとらなくてもビジネスができている。
等々の状況が将来もそのまま続くとは限りません。
鉄鋼業界等の例からも分かるように、(本当にあったか否かは別として)これまで紳士協定があったと言われていた業界であっても知財紛争はもはや普通のこととなっていると考えられますし、あるいは顧客の実施内容によってはサプライヤーから知財訴訟を起こされる場合があります。
また、一つの商品・サービスを実現するために、様々な分野の技術を融合させることが普通になっています。そのため、他の業界の企業が自社の業界向けに開発した商品・サービスに関連する特許を使って、自社の業界に突然、参入してくることもよく見かけます。特に、IT・システム系業界が他業種の業務フローの非効率性に目をつけて、ICTによるシステムに関する発明をして特許を取得した上、この他業種の企業にコンタクトしてくる場合も増えてきているようです。
あるいは、商標は特許と異なって新規性等の要件を必要としないため、自社が使っているネーミング等について他社が後から商標を取ってしまい、自社ビジネスでそのネーミングを使えなくなる場合もあります。
更に、自社において知財の取扱い方を決めて実行していたとしても、世の中の状況変化に合わせその「取扱い方」を適宜、ブラッシュアップしていく必要があります。一度決めた「取扱い方」を状況変化に合わせて修正していかないと、変化後の状況に適合しない「取扱い方」になってしまうためです。
したがって、知財担当者は「時間の目」、つまり、時間が進むにつれて常に状況は変化する、という視点をもって日々の業務を進めていくことを心掛ける必要があります。
by 今 智司
