小さな知財部~発明を生むのは難しい?

 「発明」と聞くと、「そんなすごいものは自分たちにはない」、「自分たちは技術開発をしていないから関係ない」等と考えるかもしれません。

 本当にそうでしょうか?

 自社商品・サービスのサプライチェーンを把握し、自分たちの商品・サービスがお客様から選ばれる状態にするために何をすべきかを検討している段階で、実は、自社に必要な「発明」が日々、生まれているかもしれません。

 そもそも「発明」はどのようにして生まれるのでしょうか?

 特許明細書の構成的には、「課題」を見出す→見出した課題を「解決手段」で解決する、という流れですが、もう少しかみ砕いてみると次のようになります。

 すなわち、

『発明の着想』→『着想の具体化』

です。

 この2段階で、ほとんどの発明は創出されるといっても過言ではありません。「着想」と聞くと難しそうでしょうか。しかし、「こんなことができたらいいな」とか「こうであったらいいな」というようなことをよく思い浮かべませんか?このような「こうであったらよい」と考えることが、「発明の着想」です。

 そして、その「発明の着想」を、「こうしたらできる」とか「あれをしたらできる」というように着想を現実世界で可能にする手段を考えることが「着想の具体化」です。

 この「着想の具体化」ができたタイミングで「発明」は生み出されます。

 もちろん、技術分野(化学や医薬品等)によっては、「着想の具体化」を実験により確認する必要がありますが、その他の分野(機械、ソフトウェア、ビジネスモデル等々)であれば、現実に実験しなくても「着想の具体化」の段階で発明が創出されています。

 「着想」とは課題を見つけること、「具体化」とは解決手段を見つけることです。課題を見出し、解決手段を考え、考えた解決手段に他の課題がないかを見出し、更に解決手段を考えるというループを回すことでよい発明が生まれやすくなります。

 このように考えると、皆さんも日々知らず知らずのうちに「発明」を創出しているかもしれません。

by 今 智司